【No.9】『フグ』は海にいるのに、なぜ『河豚』と書く?

フグは漢字で書くと『河豚』である。しかし、海の魚であるフグに、なぜ『河』という漢字が使われるのか?
『河豚』は中国で誕生した漢字で、じつは中国ではむかしから、フグは河に生息していたのである。
そして、敵を驚かせるために、ブーブーと豚のように鳴くことがあったため『河豚』と名付けられた。
困ったのは、漢字の輸入先・日本である。日本では、フグは河にいないため、そこで『海豚』ならどうかと検討されたが、これには『イルカ』という先客がいる。そこで、やむなくフグは日本でも『河豚』となった。

【No.8】お歯黒の女性はどうやって歯を磨いたか?

『白い歯は美しい』といつのが現代の基準。
そこで、われわれは白い歯を保とうと毎朝、毎晩、歯を磨いているわけだが、『黒い歯は美しい』という美意識があった時代、つまり、お歯黒をつけていた江戸時代の女性たちは、どうやって歯を磨いていたのだろうか。
もちろん、白い歯磨き粉をつけて歯ブラシでゴシゴシなんてことはしなかった。そんなことをしたら、せっかく黒く塗った歯が白くなってしまって台無しになってしまう。
江戸時代の人が使っていたのは、歯ブラシではなく、楊枝。といっても、爪楊枝とはちがって、先端が房状になって、そこにやわらかな刷毛のついたもの。この房楊枝で、お歯黒が剥がれないように注意しながら、歯の掃除をしていた。
ちなみに、当時の女性が歯に塗っていたのは鉄漿とよばれたもので、古釘などを酸化させてつくったものだった。

【No.7】芽キャベツはキャベツの子供てまはない!

大根の双葉が開いたころに摘んだものを『かいわれ大根』とよぶ。同じように『芽キャベツ』のことを、キャベツがまだ若い芽のうちに摘んだものと思っている人がいるかもしれないが、それはまちがい。芽キャベツが育っているところをみれば一目瞭然。キャベツのように一つ一つなるのではなく、『メキャベツ』という植物こ葉のつけ根に、ブドウのように何十個もかさなりあってできるのだ。
植物は、葉の付け根の部分に『側芽』と呼ばれる小さな芽ができる。この側芽に付いた小さな葉がかさなりあって、球状となったものが、芽キャベツこ正体だ。
キャベツの場合、側芽を放っておいても、葉がかさなりあって球状になることはないし、また芽キャベツをそのまま育てても、キャベツになるわけではない。

【No.6】アメリカ国歌は、じつはイギリスの曲ってマジ?

英国との独立戦争に勝って誕生したアメリカ合衆国。その国歌はなんと、敵国のイギリスの歌だったものだ。
アメリカ国歌が生まれたのは1814年、再びアメリカとイギリスが戦った米英戦争の真っただ中。
そして、アメリカのマクヘンリー砦が攻撃されているとき、フランシス・スコット・キーという若い弁護士が、星条旗の勇ましくたなびく様子に感動し、『星条旗』という詩をつくったのだ。
その詩が評判をよび、やがてメロディーがついて陸海軍の軍歌に採用され、その後、アメリカの国歌にもなった。そして、そのメロディーが、『アナクレオンの歌』というイギリスの古い歌だったのだ。
アメリカ人は、敵国の歌を歌いながら、戦争を戦いぬいたわけである。

【No.5】芋焼酎は本当に芋だけを原料につくられている?

焼酎のなかでと、ほのかな甘みとクセがある芋焼酎を好む人は少なくない。
ところで、この芋焼酎、原料はなんだろう。芋焼酎というぐらいだから、純粋に芋だけでつくられているのだろうか。
答えは、ノーだ。たしかに、芋麹だけを使った『純芋焼酎』もあるが、これは少数派で、一般的にはサツマイモと米麹を混ぜてつくられている。芋焼酎といっても、米の力を借りているのである。
なお、芋焼酎は、米があまりとれなかった薩摩(鹿児島県)で、米を節約しようとしたところから生まれたもの。藩から生産を奨励され、薩摩藩時代は無税だった。
こうして、芋焼酎は、まずは鹿児島の人々に定着したのだ。

【No.4】なぜ、人間の度量を“ケツの穴”の大きさで表すのか?

『ケツの穴の小さいやつだな』といわれて、うれしい人はまずいない。いうまでもなく、『ケツの穴が小さい』というのは、『小心者』『ケチン坊』を意味する悪口だ。
いっぽう、使われるケースは少ないが、『ケツの穴が太い』『ケツの穴が広い』といえば、『度量がある』とか『大胆だ』という意味になる。
それにしても、いったいなぜ、人間の度量をケツの穴の大きさで測るのだろうか?
じつはこれ、頭のてっぺんからオシリの穴までは一直線上にある、という考え方にもとづくと考えられる。
要するに、ケツの穴が太い→線が太い→度量が大きい、という発想が、この言葉の背景にはあるのである。
反対に、ケツの穴が小さい人は、線が細く、頼りないことになる。また、穴が小さければ“出るもの”も少ないということから、『ケチ』という意味も生まれた。

【No.3】えっ!お寿司屋さんの家族はイカのゲソが大嫌いだって⁉︎

寿司屋の家族は、寿司をありがたがらない、とはよく聞く話ではあるが、とりわけゲソは、名前を聞くだけで“ゲッソリ”するという。いったいなぜか。
もともとゲソは、屋台用の寿司ダネとしてあつかわれてた下級の食材で、店内で出すことはまずなかった。そのため、店が繁盛するほど、寿司屋は残ったゲソの処分に苦労したのである。現在のように、ゲソが好んで食べられるようになってからも、事情はそう変わらない。とりわけ、一流といわれる店では、ゲソを寿司ダネとしては出せない。
とはいえ、残ったゲソを捨てるのももったいないため、結局、寿司屋の家族が残り物を引き受けることになる。
ゲソの唐揚げ、ゲソ大根、ゲソのワタ炒め…。寿司屋の家庭では、ゲソがあの手この手で調理かれ、食卓に上がることが多くなるのだ。